転職者のマナーについて

美しい女性に見とれ、駅の階段を踏み誤った経験はないだろうか。転職も実はこれと同じで、ちょっとした油断が大きな失敗につながるケースは枚挙に暇がない。情報収集や転職後の夢のある青写真を広げるのも結構だが、ここで忘れてならないのは、足元にある。退職への気配りだ。どうせ辞めるのだからと、いい加減な対応をしていると足元をすくわれ、先々、面倒なことになってしまうことがよくある。退職も転職も大事なステップだと知っておかなくては、転職の成功さえおぼつかないのだ。だからといって、特別なことがあるわけではない。要は良識。退職をする上での次のようなルールを知って、きちっとそれらを守ることである。
(1)退職の申し入れは就業規則に従う
どんな企業でも「退職は○日前に届け出る」と、就業規則で定められてあるからこれを無視するわけにはいかない。「明日付けで辞めさせてもらいます」など、退職という問題を今日・明日で片づけてしまおうとする手前勝手な態度は、もっともトラブルにつながりやすいので注意が必要だ。
(2)仕事の区切りを考えた辞め方を心がける
業務にもよるが、一般に企業には繁忙期と閑暇期と呼ばれる仕事の波がある。デパートの中元・歳暮の時期が繁忙期の代表例で、会社自体が大わらわのそういうときに退職を申し出るなどは、社会人としての常識を疑われる。業務に支障のない時期を選び、仕事なかばで放置したりせず、やることはしっかり始末をつけて辞める。
(3)退職願いは文書にして上司に提出する
あたりまえのようだが、往々にして、口頭ですましたつもりでいて、あとで、「言った」「聞いてない」と、会社側と言い争うことになる事例も後を絶たない。文書でしっかりと“何月何日付をもって”と退職希望日を伝えることだ。
(4)会社から貸与された物品や借用している金品はあらかじめリストアップしておいて、すみやかに返却すること
煩雑だからと、いい加減にすることは避けねばならない。
(5)業務の引き継ぎをまちがいのないように心がける
転職後まで前の会社の仕事や問題が追いかけてきては困るし、逆に、いかにうまく処理するかで評価が高まることにもなるのだから、ここは完璧を期すようこころがけたい。
(6)後任者のために自分のしてきた職務内容を箇条書にして残しておく
次の人が仕事をしやすい環境を整えておく気配りは、自分にもけっしてマイナスにはならないものである。
(7)「円満退職」をこころがける
これは他でもなく、いままで話した六つのポイントをうまくクリアすることを意味する。どれかひとつでもなおざりにすると、転職そのものにもかげりが生じ、思わぬケガをする。ともかく“立つ鳥あとを濁さず”の姿勢を忘れないことだ。

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